ウィーンの伝統的なカフェで「カフェ(コーヒー)」とオーダーしてみてください。きっとオーパー(給仕)に「どの?」と聞かれてしまいます!ましてや「ウィンナーコーヒー」と言おうものなら、オーパーは「???」。なにしろウィーンにおけるコーヒーの種類はただものじゃありません。メニューに20種類くらい並ぶところもあります。
もっともポピュラーなのが「Melange(メランジェ)」です。泡立てた温かいミルクとモカが半々。ウィーンのカフェでは、かならずこうして水と一緒にサービスされます。実は、ウィーンの水道水はアルプスの水が源泉なんです。自慢の天然水と一緒に「ごゆっくり」という意味だとか。因みに、日本の喫茶店やレストランでコップ1杯の水がサービスされるのは、このウィーンのカフェの影響だという説もあります。
これは女帝の名前そのもの「Maria Theresia(マリア・テレジア)」です。モカにオレンジリキュールと生クリームが入っていて、寒い冬にはピッタリの贅沢なコーヒーです。
そして、日本のウィンナーコーヒーに一番近いとされているのが「Einspanner(アインシュペナー)」です。“一頭立ての馬車”という意味のこのコーヒーは取っ手付きのグラスでいただきます。モカに生クリームがたっぷり!
ところで、古くから文化人の集いの場だったというお洒落で優雅なウィーンのカフェの起源は???
まぁ、諸説あるのですが、1683年のオスマン・トルコ軍によるウィーン包囲のときという説があります。
このときウィーンの危機を救ったトルコ語を話すポーランド人コルシツキーが、市長から褒美として手に入れたトルコ軍が置いていったコーヒー豆を飲ませる店を開いたのが最初のカフェだったと・・・。実は、この英雄物語は今では単なる伝説とされているのですが、このコルシツキーが最初のカフェを開いたとされるあたりにはちゃんと「Kolschitzky-gasse(コルシツキー小路)」という通りがあり、彼の像があるんです。
さらに、なんとも驚いたことに、私が住んでいるアパートに「ここにコルシツキーが住んでいた」というプレートがついているのです。つい先日、ウィーンに住むようになって2年めにして知ったビックリ仰天なのでした。
つまり、コルシツキーなる人物、実在はしていたようですね。
写真で登場したカフェは・・・
「Landtmann」 市電1.2.D線Rathausplatz/Burgtheaterそば
「Central」 地下鉄3号線Herrengasseから徒歩2分程
<ウィーン日本人会 I 様>
「あ~、暑い!アイス・コーヒーをお願いします。」なんてオーダーをしたら、さぁ大変!ウィーンには日本人の想像するアイス・コーヒーは存在しません。「Eiskaffee(アイスカフェ)」はあります。ただし、これは冷めたコーヒーにアイスクリームと生クリームがたっぷりで、まるでパフェのようなものなのです。
喉が渇いているなら、アイスカフェでは潤うどころかますます水分が欲しくなるかも・・・。今、日本からやってきて我がオフィスで頑張っているインターンシップの女子大生ちゃんは、大の甘党。ウィーンのカフェでケーキー2個とアイスカフェをオーダーしてしまい、も~のすごい驚いたという話を聞かせてくれました。かなり苦しいフィニッシュだったようです(笑)。
さて、ウィーンといえばスイーツ!と思われる方が多いはず。カフェでも自家製のケーキを置いているお店は「カフェ・コンディトライ(菓子店)」といわれています。私のお薦めは「Oberlaa」。ウィーンで初めて甘さ控えめケーキを提案したコンディトライです。
メランジェの横にあるのはアプフェルシュトゥルーデルというアップルパイのようなケーキです。いろいろなコンディトライでアプフェルシュトゥルーデル食べ比べ、というのもなかなかおもしろいですよ。
こちらはの「Gerstner」のメランジェとアプフェルシュトゥルーデル。見た感じ、違いますよね。味も違います。お好みをさがすのも楽しいかもしれません。
ところで、カフェというのは朝早くから夜まであいています。もちろん朝は朝食が楽しめるし、日替わりランチメニューもあったりします。そして、夜ワイングラスを傾けることも可能。つまり、カフェというのはウィーンに暮らす私達の生活に欠かせない存在なのです。
カフェ・コンディトライ
「Oberlaa」 ノイアマルクト16番 他
「Gerstner」 ケルントナー通り15番 他
※どちらもシュテファン寺院から徒歩3分程です。
<ウィーン日本人会 I 様>